アウト*サイダー
「それは重症だね。まぁ、でも、分からんでもないよ」
須賀さんの家にお邪魔させてもらって、案内された彼女の部屋に荷物を置く。コンビニでの出来事を話せば、須賀さんが同意するように頷いてくれた。
座椅子に腰を下ろして、自分の部屋みたいにくつろぐ篠田さんは「良いなぁ。会えなくて寂しいけど、彼の事を考えるだけで幸せになれる的な? ……あぁ、私も惚気たい。私だけを愛してくれる優しい彼氏が欲しい!」早速次の恋を御所望のよう。
私とハルちゃんは須賀さんに促されるままソファに座らせてもらった。
隣に置かれたアンティーク調の間接照明を見上げる。花弁のような傘がとても可愛い。どれほどの値打ちがあるだろうか、と取り留めのないことを考えていると、ハルちゃんが口を開いた。
「あのさ……須賀さんの家、すごく大きいよね」
私も同じことを思っていた。今居る部屋も四人で居たって窮屈さを感じない。
家の外観はスタイリッシュで、イケてる人間にしか住むことが許されない気がするし、リビングには大型テレビ、そして高級そうな家具が一式揃えられている。オープンキッチンをちらっと覗いた時に見えた家電は、どれも有名メーカーの物で、しかも最新モデルだった。羨ましい限りである。
しかし、それだけではない。一階から二階まで吹き抜けになっており、中庭まであるのだ。
「うちの親の見栄を具現化した家だから」
具現化出来るだけすごい事なんだから、見栄でもないとは思う。
「美佐代ちゃんもタイガーも事務所?」
タイガー……?
買い込んだ服を床に並べながら篠田さんが尋ねた。
「美佐代はスタジオで、大雅は事務所。二人とも家には帰ってこないと思う。……あ、私のオカンとオトンのことね」