アウト*サイダー
* 溢れる
電話口から聞こえてきたのは彼の優しい声でも、不貞腐れて怒った声でもない。非情な機械音で「おかけになった電話は……」と言われて、私は一人呆然としていた。
耳から離した携帯の画面が明るくなって、彼の名前が表示される。寂しさが急に恨めしさに変わって、電話を切った。
着信履歴には、ケイの名前がずらっと並んでいた。
四人でお泊まり会をした日。私からかけた電話に気づいたケイが電話をかけ直してくれたが、それは銭湯でお風呂を楽しんでいる時間で出られなかった。しかも、それに気づいたのが翌日で、慌てて今度は私が電話をした。
しかし、それもタイミングが悪かったのかケイが出ることはなく、その後も両者のすれ違いで履歴だけが残っていく。
そして、今日。さすがに、まあ、しょうがないか。で、すまされない気がしてきた。メッセージを送れば良いだけなんだろうけど、いつもなら催促せずとも彼から送ってくれていたのに、と考えだすと、悪い想像を膨らませるのが止まらなくなる。
彼に嫌われた?
愛想を尽かしたの?
今、何してる?
何で電話に出ない?
もしかして、出たくない?
メッセージ送れないくらい忙しいのかな。でも、いつもなら……。
『俺を嫌いにならないで。俺はもうハスミ以外好きになれないから』