アウト*サイダー
私にすがりついて、切なく、苦しそうな彼の姿が頭に浮かんで、大きく息を吐いた。
『俺がハスミを嫌うことなんてない。大丈夫だよ。大好きだから』
持っていた携帯を適当に放り投げ、ベッドの縁に腰掛けていた私の体も倒れさせて天井を見上げた。
やっぱり、携帯なんて便利な物は持つもんじゃない。相手といつでも繋がっていられると思うから、繋がっていない時、こんなに不安になってしまうんだ。忌々しい文明の利器め。
あぁ。会いたいな。
気付けば、同じことばかり思っている。
少し離れた所に転がった携帯を手繰り寄せて、叩きつけるように文字を打つ。
『何してるんだ、この馬鹿野郎!』
鼻息荒く画面を睨む。でも、これを送信する度胸はない。すぐに削除ボタンを連打して、次は慎重に文字を打っていく。
『ケイに会いたい。いつ会えるの? 電話待ってるよ』
私は頭を抱えた。これじゃあ、ただのメンヘラかまってちゃんだ。
『ヒマだったら会いに来れば?』
お前は何様のつもりなんだ。ゴロゴロとベッドの上でのたうち回って、また携帯の所に戻る。
『好き。会いたい。寂しい。会ったら一番に抱き締めて。それから優しいキスをして、私が好きな、とびきり甘い声で名前を呼んで』
甘ったるい恋愛ソングの歌詞みたいな言葉。恥ずかしすぎて鳥肌が立った。