アウト*サイダー
可愛くない私は迫る彼の顔を手で押し退けながらも、内心では求められていることの嬉しさで心が満たされていた。
家の裏は陰になっていても暑いし、密着した体を滴り落ちる汗はどちらのものか分からない。それでも、二人でじゃれあって笑っていると不思議と苦に思わない。
私の手をすり抜けた彼が覆い被さるようにして口付ける。その勢いに負けた私がよろめき、壁に背中が付いた。
ケイからのキスは尚も降り続く。互いの唇を触れ合わせる軽いキス。挑発するみたいに私の目を見つめながら、時折私の唇を舌先で舐める。
得体の知れない熱が身体の奥で疼いた。
全部暑さの所為だ。私は自分にそう言い聞かせ、ケイの首の後ろに手を置き、望み通りに唇を甘噛みした。
満足げに彼が鼻で笑う。息が顔にかかってくすぐったい。
「本当、ハスミは甘いよな……馬鹿だなぁ」
呆れているというよりは、慈しむような口調。
「ハスミが甘やかせば甘やかす程、俺は欲張りになってしまうのに」
非難ではなく、切望。
「欲張りになっちゃいけない?」
私の問いに彼は自信が無さそうに首を傾げ、それから、壁に体重を預けていた私を急に抱き寄せた。