アウト*サイダー
ハルちゃんはこの夏休みの間に一段と可愛くなった。これは断言する。私が高校生になって今まで築き上げてきたクールな女イメージ(自称)がハルちゃんやスガシノ(須賀さんと篠田さん)の所為で、いじられキャラに崩れた事よりも明白な事実である。
それは堕天使野郎……もとい、堀江君の存在があるからというのが悔しくて堪らない。
廊下を歩くハルちゃんを一瞥する男子が増えたのも気に入らない。邪な目で見るんじゃないよ。
今、彼女の口から出ているのは自分がどれだけ彼氏が好きなのか、そして、恥ずかしがりながらも、その彼氏が自分をどれだけ大切にしてくれているか、というものだ。
私はそれを聞いて、やはり確信する。
ハルちゃんにあったネガティブな部分が堀江君によって、良いものへ変換されているのだと。
堀江君に対する好感度が上がることはないが、彼女の幸せそうな顔を見れるなら私は応援する。逆に、泣かそうものなら黙ってはいない。
決意を固く胸に刻む私の前で、教室に足を踏み入れたハルちゃんが、不自然に立ち止まった。危うく彼女の背中にぶつかってしまう所だった。
足元に何か居たのかな? まさか……Gから始まるアイツか!? 夏休みの間に教室を占拠していたようだな。ハルちゃんの御前に出てこようとは……許すまじ、Gから始まる曲者!
成敗してやろうと躍起になって私も教室の中に入り、そこで違和感に気が付いた。