アウト*サイダー
私達に向けられる視線の、今までの比にならない鋭さに、針のむしろ、という言葉が真っ先に思い浮かんだ。
クラスメイトの目が私達と自分達の間に見えない線引きをする。
またか……と、息を吐く。これまで何度も経験し、見てきた光景。なのに、私はまた馬鹿正直に落胆した。
私はいつだって誰かと争いもなく、下手な馴れ合いもなく、ただ同じ教室に配置されただけの者同士としていたいだけ。
それを、いつも壊される。
彼女らには私が傲岸不遜で、居丈高に見え、どんな難癖をつけても、どんな仕打ちをしても、その理由がどんなに理不尽であろうとも、自分達が行う全ては正当化されると信じているのだろう。
隣のハルちゃんを窺えば、唇は僅かに震え、青ざめた顔色で身動きすら出来ない状態になっていた。
彼女の視線の先には、あるべき物が失せ、ぽっかりと空いたスペース。整列された机が、そこだけ無いのだ。
それは私とハルちゃんの席“だった”所。
潜めた声で誰かが嗤う。私の中の心が軋む音もした気がするが、これは気のせいだ。
落胆はしても、こんなことで悲しむような質ではない。むしろ、怒りだ。私だけでなく、ハルちゃんにまで悪意を向けた事に対して。
聞こえてくる、せせら笑いが幾重にも重なって、重なって、重たくのし掛かる。
残念ながら、私は黙って我慢するなんて、そんな殊勝な態度を取れる人間ではない。先に謝っておこう。でも、良いよね?
怒らせたのは、あなた達なのだから。