アウト*サイダー

 もう知るもんか、と踵を返す。が、後ろから追いかけてくる足音。すぐに私の腕はケイに捕まってしまった。

「二人だけの秘密にしよう」

 引き寄せられた体、熱をもった吐息、鼓膜の奥に届く低い声、顔を上げて見た彼の透き通った薄い茶色の目。

 その全てに捕らえられていることに気づいて、私は途方に暮れた。

 そして、諦めるしかなかった。

 ケイの手が私からゆっくりと、勿体つけて離れると、彼はくるりと背を向けて行ってしまう。

 遠ざかる背中。

 時折に振り返る彼は、逡巡して二の足を踏む私を試しているようだ。

 なんだか悔しかった。

 だから諦めるしかなかった。

 ウサギを追いかける少女のごとく、不安と期待でドキドキする鼓動が足を動かして未知の穴へと引き寄せられていく。

 木の枝の間から射し込む光が風に合わせて愉快に揺れる。

 秘密の場所とやらの入り口の向こうへと消えたケイの姿。
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