アウト*サイダー
私に恋人……?
駄目だ、うまく想像できない。
何してるんだろ。ほんとの本当に馬鹿みたい。
私は夢から覚めたような気持ちで、冷静になる。そして、重ねた手を離そうとした。
そう、私は至って冷静で、微睡んでもいない。
なのに、強く繋がれた手と、唇に触れる何か……なんて曖昧なものではないけど、それによって思考が働かなくなっていた。
夢と現実の狭間のように鳥の鳴き声がどこかから聞こえ、そしてまた聞き慣れたチャイムの音が遠くで鳴っていた。
どのくらいの時間か、すごく一瞬だったかもしれないし、とても長かったかもしれない。
固まる私から彼が少し離れて、掠れた低い声で名前を呼んだ。
私はそのリアルすぎる感触と、リアルすぎる彼の反応に、自分でも驚くぐらいの速さでベンチから立ち上がっていた。