アウト*サイダー

「何、今の……?」

 指で唇に触れて、だけど、それすら恥ずかしくて、とにかく座ったままのケイを睨む。

「何って、言われたら……キス?」

 キスって何? と、言うのはほんとに馬鹿っぽいからやめた。

 恋愛を知らなくてもそれくらいは分かる。

 唇同士を合わせる接吻ってやつだ。

 え?

 ……キス?

「な……何で?」

 まだ寝ぼけているような表情のケイは考え込むように黙った。その沈黙すら嫌で、私は手を前に出して「待って」と言った。

 非常に混乱している。この状況で何を言われても正常な判断なんてつかないのは分かりきっている。

 頭を抱える私と、言われた通りに待つケイ。

 何か……何か言わなくちゃ…………!
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