アウト*サイダー
焦る私の口はぎこちなく開き、言葉を探しながら声を発する。
「教室…………戻らない?」
深く探るのは得意じゃないから。
だって、深く探ってしまえば、彼の気持ちを何とか私から遠ざけようとまた傷つける。そうすれば今度こそ彼は私から離れてしまう。
臆病者。
卑怯者。
私が私を嘲笑う。
でもね、と私は私に言う。
私は決してケイが嫌いな訳じゃない。だから、この今の二人の関係を保つ努力をしようとしてるだけなのだと。
だけど、私の言葉にケイは一度目を伏せて、それから首を横に振った。
「俺はいいや。戻りたいなら、どうぞ」
真っ直ぐな目を向けられる。
私は立ちすくむ。
“どうして……?”
言葉にできないモヤモヤした感情が渦巻く。
私は何か間違った答えを出していた?
再び目を閉じた彼。
急に遠ざかったような距離。
意味がわからない。
だけど今更聞けない。
踏み込めない。
だから、私は彼に背中を向けて歩き出した。……耳を澄ましても、追いかけてくる足音も、何も、なかった。