アウト*サイダー

 顔を赤らめて首を横に振るハルちゃんを茶化しながら、鞄を持って教室のドアの方へ足を進めていくと……

「おっと!」

 頭上から声がして、体を停止させて前を向く。

 ドアの前に人がいたようで、斜め後ろを向いていた私と危うくぶつかりそうになっていた。

「あ、ごめん」

 これから部活に行くところなのかユニフォーム姿の男子がいて、ぐっと見上げて、やっと顔を確認できた。

 何となく見たことのある顔……だけれど、上靴の色が同じだから同学年ということだ。廊下ですれ違ったくらいだろうと端に寄って出ようとする前に、その彼が口を開いた。

「伊織さん」

 伊織というのはハルちゃんの苗字だ。

 おや? と思って、ハルちゃんを振り向けば、驚くぐらいに頬を真っ赤に染めた彼女が、ガチガチに固まって立ち尽くしていた。

「伊織さん? この間はありがとう。これ、貸してくれた傘。それとお礼に……」
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