アウト*サイダー

 爽やか過ぎる笑顔を浮かべる彼は、固まっている彼女の手を優しく取るとそこに、持っていた傘と棒付きの飴を渡した。

 私はようやく、彼がハルちゃんの想い人である堀江君だと気付く。彼女は相変わらずガチガチで耳も真っ赤な状態だ。

「君、伊織さんの友達だよね?」

 対して堀江君は爽やかさ全開でこっちに向くと、ハルちゃんにあげていた飴をもう一つ出していた。

「君にもあげる」

「え、あぁ、どうも」

 何故だ? と不思議がりながらも断るのも面倒だから有り難く受け取ると、これから部活だからとか何とか言って爽やかに去っていった。

 その後ろ姿を見送った後に、さっきから黙り込んでいるハルちゃんの様子を見てみれば……

「あの、ハルちゃん? 何してるの?」

 彼女は自分の傘をぎゅっと抱き締めて声にならない何かを叫んでいた。

「だ、だっ、だって!! ……あの堀江君がっ!!」
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