アウト*サイダー

 ほとんど過呼吸状態のハルちゃんの背中を、トントンして宥めてあげる。本当に彼女は堀江君のことになると我を忘れてしまうんだな。

「ほら、これあげるから落ち着いて」

 さっきもらった棒付きの飴を差し出すと「それはハスミちゃんにって堀江君が」と、律儀な彼女らしい返事に笑ってしまった。

「いいよ。堀江君も、ハルちゃんの友達だからってだけでくれたんだろうし」

 遠慮するハルちゃんに無理矢理渡す。申し訳なさそうにするが、やっぱり嬉しいのか大事そうに両手で抱えて「ごめんね、ありがと」とはにかんだ。

 ああ、なんて可愛いんだ。

 恋する乙女とはまさにハルちゃんのことだ。

 思わず彼女を抱き締めて、頭をなでなでする。そこへ……

「ちょっと、退いてくんない?」

 そのあまりにも冷たい声に教室が一瞬静まる。

 戸惑いながら目を向けた先に、一人の子を先頭にして数名の女子が整列して立っていた。
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