アウト*サイダー
「ごめんね……ハスミちゃん」
校舎の向こうのグラウンドで部活をする人達の掛け声が私とハルちゃんのいる駐輪場まで聞こえてくる。
鎖骨下ぐらいの長さの髪が、俯く彼女の表情を私から見えないように隠す。震える声は何かに怯えているみたい。
「いいから、ハルちゃん顔上げてよ」
なるべく優しく声をかけてもハルちゃんは余計に肩を縮めて、返してもらった傘を盾にするように身を固くさせる。
教室を出る時の私を引く腕の強さはどこへいったのやら……なんて茶化せる雰囲気でもない。
「ハルちゃん、私のことちゃんと見て」
少し強めに言ってみる。彼女は気まずそうにしながら恐る恐る顔を上げて、やっと私と目を合わしてくれた。
「怒ってないよ。謝る必要もない。ついでに言えば河西さん達にもね」
「うん……ごめん」
再び下を向きそうになるハルちゃんの頬を両手で挟んで止めさせると、びっくりしたような顔をする。その表情がいつにも増して可愛らしくて笑い出せば、ハルちゃんが困ったように「笑わないで……」と抗議した。