アウト*サイダー
「ハルちゃんが可愛いから、つい」
あんまりやると嫌われるかもしれないから手を離す。
「可愛くないよ、私なんか。ただのデブだもん」
堀江君と会った時のテンションが嘘みたいに、元気のないハルちゃん。
彼女は時折こうやって自分を酷く罵るけど、疲れないのかといつも疑問に思う。
そりゃ、私だって自分が完璧で非の打ち所がない人間だとは思わないし、人に誇れる何かがあるわけじゃないから自信とかまるっきりない。嫌な自分を自覚すると普通に落ち込む。
だけど彼女の場合、こうやって短所を探して必要以上に自分を責めているみたいに思えるんだ。
「ハルちゃんは、人の観察はしてても自分のことを見ないんだね」
自分のことをそんなに傷付けないでほしい。自分のことを嫌わないでほしい。
ただ、そう思って言った。けれど……
「分かったようなこと、言わないで」
「え……ハルちゃん?」
見たことない顔。
目に溜めたいっぱいの涙。
走って遠ざかる背中。
伸ばした手は何も掴めずに宙ぶらりん。
地面には固まったまま動けずにいる私の影だけが一人ぼっちに取り残されていた。