アウト*サイダー
「はぁ……もう、忘れた? 同じクラスの男子との腕相撲がどうしても勝てなくて本気で悔し涙を流したり、中学の時もマラソン大会優勝に向けて自主練してたら本番で風邪引いて出られなくなって泣いたり……」
「ごめんなさい、申し訳ありません、トクラ様。どうか私めにお力添えを」
いつかこいつを越えてみせようと、幾千度こうして誓ったのだろうか。
「よろしい。……まず、そのハルちゃんとやらがあんたとは正反対の思考だろうってことを頭に入れときな」
正反対の思考?
「きっとあんたと違って人に気遣いができて、周りの空気に同調できる子なんでしょうよ。察しが良い子って感じなんじゃない?」
ファミレスの中には私とトクラのような高校生やママ友らしい人ら、年配の方たちもいる。店内を流れる音楽も今流行っている曲だけど、ここの席だけクラブのカウンターみたいな雰囲気だ。
もちろん、クラブのママはトクラだ。
「人に気遣いができるってことは、その人をよく見ていないと出来ないと思う。考えなしにできる人もいるかもしれないけど、そうじゃない人もいるわけで……」
私は馬鹿みたいにうんうん頷いて話を聞く。