アウト*サイダー
「今日の出来事からして、それは嫌われたくない……つまり、好かれる自信がないとかっていう劣等感が人一倍あって、もしかしたらその子は、どうにか嫌われないよう常に周りを監視して自分を守っているのかも。それを……」
あれ……? 今、私が人に気遣いできないガキみたいな奴だって言われてなかった? 本当にこの口の悪さは直らないな。
「ハスミの自分をちゃんと見直せ……みたいな軽はずみな言葉かけられた日にゃあー、それはそれは腹が立つってもんでしょーよ」
「ちょっと! 人が大人しくしてると思って好き勝手言って。私はハルちゃんが自分を好きになってほしいなって思ったの。見直せだなんて全く思ってないし」
「一字一句、きちんと思い返してみなよ。自分の言った言葉を」
空になっていたジュースのグラスを手に立ち上がったトクラが、私のおでこを指で軽く弾いてドリンクバーの方へ向かって歩いていく。
その後ろ姿を睨み付ける私の隣で、大学生らしいアルバイトの兄ちゃんがうっとりした目で彼女を追っていた。
機嫌が優れないからか無性にイライラして「彼女、お金持ちにしか興味ありませんから」と言いつけてジュースを一気飲みした。