アウト*サイダー
焦ったように厨房の方へ逃げ込んでいく姿を見送った後、そんなに酷いことを言ったのかと、一応思い出してみる。
えーと……『人の観察はしてても、自分のことを見ない』とか、だっけ。
……ん?
…………こ、これは確かに悪い意味に捉えかねない……かも?
サッ、と血の気が引いていく。
私としては自分の良さに気付いてほしいという意味を込めたつもりだったけど、周りばっか気にしてないで自分を見直した方がいい……みたいに聞こえた!?
「どう? 自分の口下手さ加減が嫌になったでしょう?」
トクラが焦る私の顔を指差してドカッと豪快に席に座った。置かれたグラスにはコーラがいっぱいに入れられて、パチパチ弾けている。
「とりあえず、トクラはその毒舌を直した方がいい。これは友人としてキミを心配して言ってるんだからね?」
「口下手よりも良くない? 少なくとも自分が思った通りに相手に通じてる訳だし」
ぐっ……。
「ふん、ぐうの音も出ないようね」
今日も完全敗北か。
今度こそは、必ずや…………。
「あ、彼氏から電話だ。ちょっと、ごめん」
ぐふっ………………!
トクラに彼氏!!?