アウト*サイダー
「まぁ、ハスミのことだから一回は絶対断ってるね。だけど、その彼のことがだんだん気になりかけている」
ヘナヘナのポテトを無心で食べる。
むしゃむしゃと。ヤギになりきるんだ。
「彼はもう一度告白を……いや、もしかして、そういうのすっ飛ばして、もうやることやっちゃったとか」
飲み込もうとしていたポテトが変な所に入って噎せかえってしまう。死に物狂いで側にあったコーラ(トクラのだけど)を喉に流し込むが、その炭酸が暴れて、喉が大変な事になる。
トクラは心配する素振りも見せずに、にまにまと、悪い笑みを浮かべていた。
「わぉ、大胆。でも男がそのくらい強気じゃないとハスミのガードを破ることなんてできないか」
「ケホ、ゴホっ……や、やめてよ、品のない! ほんと、変なこと想像しないで、何もないんだから」
「もう、半分冗談だってば」
いいや、100パーセント面白がってる。トクラはそういう奴なのだから。
もう、私の口は絶対開かないぞ。
……という、誓いが後何度もこの冷酷非情の悪魔に破られることになるなんて、この時の私は知る由もなかった。