アウト*サイダー

「……ないな」

「え?」

「ううん、何でもない」

 とりあえず私の好かれる点については置いておこう。考えれば考えるほど悪い方向にいく。

「あの人のこと、気になってるの?」

 恐る恐るといった感じのハルちゃんに、私は一瞬だけ答えに迷って首を横に振る。

「好きって言われたら、そりゃあ何でかなって思う。でも今の話聞いたら気になるとか好きとか違うかなって。昨日、初めて顔見たくらいだし」

「わりと有名だけどね、あの人。私も同じ中学校だったけど隠れファンが多かったの」

 まさかのアイドルだったの? という感想しかでない。なんだ、ファンとは。

「宮永慧君。すごくマイペースで、いつも一人で本読んでたりして気を許すのもごく一部の人だけなんだけど、その時に見せる笑顔が女の子たちを虜にさせるの」

 宮永慧……あの男の正体は分かった。けど、ハルちゃんがこんなに人間観察をしているとは。
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