アウト*サイダー
「よく見てるんだね」
「そうかな? 周りの子たちが言ってたのもあるから」
ハルちゃんは照れくさそうに笑った。
そう、私に足りないのは他人に興味を持たなさすぎること。彼女を見習わないと。
とは言え、私は人間関係を築くことが大の苦手である。嘘も方便なんて器用なことが出来ない質なので、つい豚に真珠やら馬子にも衣装やらと口を滑らすのだから。
話してる内にハルちゃんはご飯を食べ終えていたようで、同じ茶道部の友達と部室に行く用事があるからと教室を出ていった。
開けている窓から風が通る。
半分ほど残っているお弁当。
頬杖ついて、ぼんやり外を眺めた。
裏門の側にある桜の木が見える。
優しそうに風に揺れる緑の葉。
さわさわ、しゃらしゃらと軽い音をたてて。
『あんたが好きだ』
昨日のことを思い出す。
さわさわ、しゃらしゃら。
楽しげにも聞こえる葉の音が彼の言葉を私に届けた。