アウト*サイダー

 前のめりになったリョウスケの手にあった焼そばパンから、焼そばが危なっかしく下に垂れた。

「焼そば落ちちゃうよ」

「ぅわわわ!」

 言われて気づいたのか、忙しなく落ちそうになっている焼そばを救出する彼の姿が可笑しくて、つい吹き出してしまう。

「わ、笑うなよ!」

「ごめん、ごめん」

「悪いと思ってないな! まったく……」

 顔を背けたリョウスケの耳が真っ赤に染まっていた。それを指摘すれば、いじけたように口を尖らして「もういいよ、ハスミのバーカ」と更にそっぽを向く。

 皆がリョウスケをいじりたくなる気持ちが分かった気がする。反応が可愛くて仕方ないんだよね。

「ねぇ、リョウスケ。こっち向いてよ」

 羨むくらいサラサラな彼の髪が風に吹かれてなびいた。彼はゆっくりと振り向いた。
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