シンシアリー
「姫。あれはブルマン軍の“侵攻予告”だったのでしょうか」
「私は議会の場にはいなかったので、真実の程は分かりません」
「あぁ。そうですよね」
「では、あれは“ブルマン軍が練習しているうちに、リントの国境付近まで誤って来てしまった”という大公様のご報告どうりに捉えても良いのでしょうか」
「そうですね。あれ以来、ブルマン軍は、リント国内はもちろん、国境付近にも近づいていないそうですから」
「そうよね。だから北部にある学校も、3日後には再開したのよ」

確かに、レティシアは大公の娘であっても、参政権を持たない上、貴族院議員でもないため、当然議会にはいなかった。
だから議会で何が話し合われたのか、姫にも真実は分からない。
しかし、その議会があった翌日。
姫は、ゼノス大公と「話」をしていた―――。

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