シンシアリー
「お父様。ご存知でしたか?私たちの先祖が建国したアンドゥーラ公国は、建国以来約110年の間、一度も国土を拡大、もしくは縮小したことがないことを」
「ああ。もちろん知っているとも」
「アンドゥーラは世界の中でもとても小さな国土を保有する国です。先日、図書室で近隣諸国版の世界地図――60年前のでしたが――を見て、私はショックを受けました」
「小さな国であることがか?」
「いいえ。110年の間、国土を失うことなく護り続けているという事実に。文化の発達等、多少の“変化”はあるでしょうが、結局のところは110年間も現状を維持し続けているのです。これはなかなかの偉業を成し得ていると言えるのではないでしょうか」
「うむ、そうだな」
「ですから、ショックを受けたというのは、突き詰めれば良い意味でということです。心が震える程感動したと言い換えてもいいかもしれません」
「ああ。もちろん知っているとも」
「アンドゥーラは世界の中でもとても小さな国土を保有する国です。先日、図書室で近隣諸国版の世界地図――60年前のでしたが――を見て、私はショックを受けました」
「小さな国であることがか?」
「いいえ。110年の間、国土を失うことなく護り続けているという事実に。文化の発達等、多少の“変化”はあるでしょうが、結局のところは110年間も現状を維持し続けているのです。これはなかなかの偉業を成し得ていると言えるのではないでしょうか」
「うむ、そうだな」
「ですから、ショックを受けたというのは、突き詰めれば良い意味でということです。心が震える程感動したと言い換えてもいいかもしれません」