シンシアリー
『小さな国をこのまま存続し続けるためには、何か“売り”になるものが必要です。この国ならではの品、この国でなければ作ることができないと、世界で認識されるくらいの特別な品を・・・』
「その“売り”になるものが“絹”であると?」
「然様。幸い、わが国の南から南西部にかけて、クワの樹が群生している」
『実際のところ、クワの樹は、国内地図の2倍くらいの広さ分はあります。最新版と銘打ってありますが、地図は訂正しておいた方が良いでしょう』

あのときのかしこまったレティシアの言い方を思い出してしまって、つい笑いを顔に浮かべたゼノスは、再び顔を引き締めた。

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