シンシアリー

「あの子はもうすぐ１３歳になる。次期大公になるのであれば、そろそろ政治についても教えて良い頃合いだと思うのだが、議会の見学にも来ようとせぬ・・・いや。まだ早過ぎるだろうか。しかし私は１２の頃から政治を学んでいたように記憶しているが・・・。今の時代では、やはり早過ぎるのかもしれんな」

ヘルメースの愚痴をこぼしながらも、結局、彼を擁護しているゼノス大公の横顔を、セイヴィアー騎士長官は苦笑を浮かべながら見ていた。

「レティシアが１２歳の時には、すでに学校に通い始めていたな」
「医学を学び始めたのですよね」
「ああ。クラス最年少でありながら、成績は常に最上位。あの子の賢さと先見の明には、時に恐ろしくなる」と言いながらも、顔をほころばせているゼノス大公に、セイヴィアーは片眉を上げながら「しかし？」と問うた。