シンシアリー
「そう言えば、おまえは私に話があると言っていたが・・・あぁもうこんな時間か。何だ?申してみよ」
「あのー、剣術を習いたいんです。体を鍛えるために」
「剣術か・・・成程」
「でも、騎士が訓練するほど鍛えなくてもいいんです。そこまで極める必要はありません」
「そうか。成長期のおまえは、適度に体を動かす必要があるだろう。うむ。許可しよう。但し、学業をおろそかにしてはならぬ。成績が下がれば即止めさせるからな」
「ご心配なく」

・・・だって、これ以上成績が“下がる”ことはないから・・・。

ヘルメースは「ありがとうございます、父上」と言いながら、ニッコリと微笑んだ。
ゼノスは「天使のように愛らしい」と思い、セイヴィアーは「狡猾」と思っている、ヘルメースとっておきの微笑み顔だ。

案の定、途端に調子づいたゼノスは、目尻を下げながら「セイヴィアー。息子に剣術を教えてやってくれ」と頼んだ。


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