シンシアリー
実は―――。
南西部で公開訓練中だったユーグと再会してから数日後、レティシアは彼と約束したとおり、彼の両親であるセイヴィアーとエイダ夫妻の家で会い、4人で夕食をともにした。
しかし、それを2・3回行ううちに、セイヴィアーが息子のユーグに忠告をしたのだ。
おまえはたかだか一端の騎士でしかない上に、相手は公家の姫なのだ。
姫様に惹かれる気持ちは分かるが、今のうちに身を引いておけ。
おまえのためではなく、姫様のために、と―――。
そんなことはユーグにも十分過ぎる程分かっていたから、父親の言い分が正しいことも承知していた。
だからレティシアは、それから1ヶ月も経たないうちに、ユーグと彼の両親宅で“偶然”会うことはなくなってしまったのだ。
ユーグが自分を避けていることは、レティシアにもハッキリ分かった。
しかし、奥手な上に恋愛には疎いレティシアは、自分が何か気に障ることを言うか、そういう振る舞いをしてしまったのかもしれない、だから嫌われてしまったのだとしか考えつかない。
せめてユーグに謝りたいと思ったレティシアだったが・・・この3年半の間、彼のことは公開訓練時等でたまに見かける程度になってしまい、言葉を交わすこともほとんどなくなり、二人の間には、目に見えない壁が確実に築かれていた。
南西部で公開訓練中だったユーグと再会してから数日後、レティシアは彼と約束したとおり、彼の両親であるセイヴィアーとエイダ夫妻の家で会い、4人で夕食をともにした。
しかし、それを2・3回行ううちに、セイヴィアーが息子のユーグに忠告をしたのだ。
おまえはたかだか一端の騎士でしかない上に、相手は公家の姫なのだ。
姫様に惹かれる気持ちは分かるが、今のうちに身を引いておけ。
おまえのためではなく、姫様のために、と―――。
そんなことはユーグにも十分過ぎる程分かっていたから、父親の言い分が正しいことも承知していた。
だからレティシアは、それから1ヶ月も経たないうちに、ユーグと彼の両親宅で“偶然”会うことはなくなってしまったのだ。
ユーグが自分を避けていることは、レティシアにもハッキリ分かった。
しかし、奥手な上に恋愛には疎いレティシアは、自分が何か気に障ることを言うか、そういう振る舞いをしてしまったのかもしれない、だから嫌われてしまったのだとしか考えつかない。
せめてユーグに謝りたいと思ったレティシアだったが・・・この3年半の間、彼のことは公開訓練時等でたまに見かける程度になってしまい、言葉を交わすこともほとんどなくなり、二人の間には、目に見えない壁が確実に築かれていた。