シンシアリー
「強いなぁ姫様は」
「俺が思ってたよりも近寄り易くて何と言うか・・庶民的?ですよね。服装とかにも全然華美さがなくて」
「私も皆さんと同じく、人の子ですから。皆さんと同じように食事をするし、自分が身につけている衣服だって、自分で洗濯しているのよ」
「え!?姫様がご自分で!?」
「ええ。料理だってできるわよ」

その場にいる者たちは、皆一様に驚きを隠せなかった。しかしユーグ一人だけは、密かに笑いをこらえていた。

・・・姫様が俺の母と一緒に作ったスープがどれほど美味いか、ここにいる人たちの中では、俺と姫様以外、誰も知らないんだ・・・。
と思うと、ユーグの中で、隠れた喜びのような優越感が湧いてくる。

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