シンシアリー
「絹の洗濯って、意外と難しいのよね」
「あ、そうだ。絹と言えば・・姫。これから絹工場の方へ行きますか。これといった進展は、今日はなかったけど」
「だったら来週明けに見に行こうかしら」
「そう言うと思って、これ持ってきましたよ」

ナサニエルがもったいぶってバッグから取り出した本を見たレティシアは、小躍りしそうな勢いで喜んだ。

「ガガーリアン戦記じゃない!」
「しかも第6巻。姫、これずっと探してただろ?貸してあげよう」
「本当に!?わぁ。ありがとう」と言って差し出したレティシアの手の上に、本を置いたナサニエルだったが、彼は自分の手を、まだ本から放さなかった。

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