シンシアリー
「それでは。私はこれで失礼します」
「もう帰るの?」
「あまり遅くなるのも・・」
「そうね」
「また明日!」
「学校で会いましょうね」
「ええ」

「ごきげんよう」と言って軽く一礼をしたレティシアは、静かに足音を響かせながら、扉の方へと歩いていく。
艶やかなハニーブロンドの髪。華奢な体型・・・。
しかし、優雅で気品に満ちた姫の後姿に、その場にいる誰もがハッと惹かれる。
ついふり返ってもう一度見てしまう人々―――特に男たち――がいるのも無理はない。

いても経ってもいられなくなったユーグは、衝動的にレティシアを追いかけていた。

< 147 / 365 >

この作品をシェア

pagetop