シンシアリー
「姫様。ここにおいででしたか」
「どうしたの?ベイルさん」
「今日は私の家で夕食でもいかがかなと思いまして。大公様には言伝(ことづて)済です」
「あらそう。ではお言葉に甘えてもいいかしら」
「もちろんですとも」
「あ、父上っ!俺も・・」
「おまえは今晩、ニンカ嬢と“デイト”があるのだろう?」

ユーグはセイヴィアーに、そしてレティシアがユーグに「え」と言ったのは、同時だった。

・・・ニンカ嬢?
今晩、デイト・・・?

・・・ち、父上・・・!!

思いっきり怪訝な問い顔をしているレティシアに見られたユーグは、言葉に窮してしまった。
そんなユーグの態度が、彼らの間に見えない“距離”を作る。

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