シンシアリー
「これを私に?いただいて良いの?今日は誕生日でもないはずだけど・・・」
「違いますね」
「じゃあ・・ありがとう。あの・・今、開けてもいいかしら」
「どうぞ」

レティシアは、ドキドキ鼓動を弾ませながら、赤いリボンをほどいて、木箱を開けた。
そして・・・「ぁ」と感嘆の小声を上げる。

「これ・・・」
「白鳥の羽根ペンです。フクロウを探したんですが、どうしても見つからなくて」
「どぅして・・・」
「・・・大公様からいただいたお守りの羽根ペンを無くされたと父から聞きました。それで姫様は気を落としていらっしゃると。大公様と同じものを、というわけにはいきませんでしたが・・」
「いいのっ。これで・・これがいいの。とても綺麗な羽根の色だわ・・・。ユーグ、どうも・・ありがとう。本当に、ありがとう」
「姫様・・あの・・」
「・・・ヘンね。嬉しいのに涙が出てくるの。こんなこと・・生まれて初めてだわ」
「姫様・・・」

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