シンシアリー
恐ろしい疑惑
この日の夕食時に、アレッシアが最初から最後まで事件の話に加わろうとしなかったのには理由がある。
それはもちろん、単に「興味がない」からではない。
アレッシアは怖かったのだ。自分が抱いてしまった“考え”が―――。

・・・被害者の年齢。職業・・。
被害者が住んでいた地域は、全て離れているし、彼女たちは知り合い同士でもなかったという。
共通点を強いて挙げれば、彼女たちは皆、身寄りがなく、一人暮らしをしていた・・・。
まさか・・・・・いいえ。そんなことは・・・。でも・・・・・。

考え事をしながら歩いていたアレッシアは、自然と歩を早めた。
大理石の廊下に、コツコツと靴音を鳴り響せながら、通りかかった女中を呼び止める。

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