シンシアリー
何度か深呼吸をして息を整えたアレッシアは、ようやく正面から息子と向き合った。
こういう時、レティシアならば「大丈夫ですか?」等、気遣いの言葉をかけながら、背中を優しくさすってあげたりするのだが・・。
それ以前に、呼び止められた時点で、レティシアであれば、彼女自らアレッシアの方へ駆け出して行くはずだ。
「立ち止まってやっただけでもありがたく思え」と言わんばかりのヘルメースの尊大な態度――いつものことだが――と、母親を思いやる心が全くない息子に対して、アレッシアは少しだけムッとした。
こういう時、レティシアならば「大丈夫ですか?」等、気遣いの言葉をかけながら、背中を優しくさすってあげたりするのだが・・。
それ以前に、呼び止められた時点で、レティシアであれば、彼女自らアレッシアの方へ駆け出して行くはずだ。
「立ち止まってやっただけでもありがたく思え」と言わんばかりのヘルメースの尊大な態度――いつものことだが――と、母親を思いやる心が全くない息子に対して、アレッシアは少しだけムッとした。