シンシアリー
姫専属の護衛騎士
セイヴィアー・ベイル騎士長官が死んだ―――。
しかも、病死や事故死、戦死ではなく・・・殺害された。

一体何故、ベイル騎士長官は、一人で見回りに出られたのだろう。
何故、夜更けの時刻に辺鄙な場所へ、単独やって来たのだろう。
ベイル騎士長官程の剣の手練れが、こんなに容易く殺られてしまうはずがないと思う者たちは、セイヴィアーが殺されたのではなく、自害をしたのではないかと疑った。
その考えから発展して、「まさか、ベイル騎士長官が“首切り”では!?」「これ以上罪を重ねないために、自害をしたのでは・・・」という犯人説を唱える者もいた。
しかし、もしセイヴィアーが自害をしたのなら、こんなに何度も自分を刺す事はできないはず。
つまり、少なくとも3度目に刺された時点で、恐らくセイヴィアーは力尽きていたと思われる。彼の遺体をざっと見ただけでも、刺し傷は10以上あった。
よって、そのようなくだらない説は、すぐに否定された。

何より、いつも国の治安を護るために尽力していたセイヴィアー・ベイル騎士長官は、町の人々から尊敬され、親しまれていた。
それだけに、セイヴィアーの死は、アンドゥーラの全国民に様々な憶測と、それ以上に多大な衝撃を与え、そして深い、深い悲しみをもたらした―――。

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