シンシアリー
体調が回復したレティシアは、葬儀に参列できなかったことを埋め合わせるように、それから毎日、セイヴィアーが埋葬された墓地に来ていた。
そして彼女の実母・カサンドラが亡くなった時のように、セイヴィアーの墓前に向かって、色々と話しかける。
カサンドラの時と違うのは、レティシア一人きりではないことだ。彼女の傍にはいつも、ユーグが付き添っている。
レティシアを丸ごと全て包み込むような優しさと、彼の気遣う心のおかげで、レティシアは、独りぼっちで悲しむこともなく、そして悲しみの渦に深く沈むことも、なかった。
「父が例の“事件”の調査と犯人捕獲の陣頭指揮を執っていたことは、姫様もご存知ですよね」
「ええ」
「父は犯人・首切りのことを、誰よりも詳しく調べていた。父が・・・そう言ってましたから」
・・・10日前のあれが、父上との最後の会話になるとは・・・。
そして彼女の実母・カサンドラが亡くなった時のように、セイヴィアーの墓前に向かって、色々と話しかける。
カサンドラの時と違うのは、レティシア一人きりではないことだ。彼女の傍にはいつも、ユーグが付き添っている。
レティシアを丸ごと全て包み込むような優しさと、彼の気遣う心のおかげで、レティシアは、独りぼっちで悲しむこともなく、そして悲しみの渦に深く沈むことも、なかった。
「父が例の“事件”の調査と犯人捕獲の陣頭指揮を執っていたことは、姫様もご存知ですよね」
「ええ」
「父は犯人・首切りのことを、誰よりも詳しく調べていた。父が・・・そう言ってましたから」
・・・10日前のあれが、父上との最後の会話になるとは・・・。