シンシアリー
「確かに、男と女、性別は違います。そして、相手が子であるか、恋人であるか、妻であるかによって、愛情表現の仕方もそれぞれ違うでしょう。要は貴方様の存在を、レティシア様に示せばよろしいのではないでしょうか。つまり父親として、いつもレティシア様のことを見守っていると、レティシア様に分かってもらうようにするのです。それだけでレティシア様はご安心されるのではないでしょうか。貴方様がここにいるから大丈夫なのだと」

騎士らしい雄大且つ優雅な仕草で、左胸に右手を当てながるセイヴィアーを見て、ゼノス大公はようやく落ち着きを取り戻した。

「成程。そうだな・・・」とゼノス大公が呟いたとき、部屋が暗くなっていることに気がついた。
まだ昼間なのだが、外には灰色の雨雲が広がっている。今にも雨が降り出しそうだ。

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