シンシアリー
「あの・・ユーグのお気持ちはありがたいけれど・・本当に、とても。でも、私だけを護衛するなんて。そんなことは必要ないんじゃないかしら」
「いいえ必要です。“首切り”はまだ捕まっていないんですよ」
「それはそうだけど・・・。でも、犯人は私よりももっと年上の女性を狙っているわ。それに、私は夜間の外出もしないし・・そうだっ。私より、公妃様の護衛をした方が良いんじゃなくって?年齢的にも、私よりはるかに狙われやすいと思うし」
「俺は、姫様の護衛をしたいと願い出たんです。そして大公様は許可してくださった。以上です」

表面的には普段どおり、穏やかな表情をしているが、非常に頑固な雰囲気を漂わせながら有無を言わさない口調で言いきったユーグを見て、レティシアは、まるで学校で難題を解くときのように、眉間にしわを寄せ、少しだけしかめ面になった。

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