シンシアリー
「それは分かってるわ。でも・・・」
「公妃様には、俺ではない別の騎士が護衛に就くと思いますよ。大公様にはすでに護衛が就いていますから、恐らく公子様にも」
「あらそうなの。でも・・やっぱり私に護衛は必要ないと思うわ。だって、公家とはいっても私は姫なんだし、結婚すればザッハルト家を出るんだから・・・」
「決まったんですか」
「え?何が?」
「け・・ご結婚」
「あぁ。いいえっ。いまだに縁談話すら来ていないと思う。少なくとも私は全然聞いていないのよ。できれば、もう暫くの間は来ないことを願うわ」
・・・姫様は、「来ないと“思う”」ではなく、“願う”とおっしゃった。
きっとそれが姫様の本音だからだろう。俺もそう願う。
もう暫くはこのまま姫様の護衛を・・護衛という形で良いから、姫様のお傍に俺をいさせてほしい・・・。
レティシアが、自分につい「本音」を吐露してくれたことが嬉しかったユーグは、心の中で密かにニンマリした。
「公妃様には、俺ではない別の騎士が護衛に就くと思いますよ。大公様にはすでに護衛が就いていますから、恐らく公子様にも」
「あらそうなの。でも・・やっぱり私に護衛は必要ないと思うわ。だって、公家とはいっても私は姫なんだし、結婚すればザッハルト家を出るんだから・・・」
「決まったんですか」
「え?何が?」
「け・・ご結婚」
「あぁ。いいえっ。いまだに縁談話すら来ていないと思う。少なくとも私は全然聞いていないのよ。できれば、もう暫くの間は来ないことを願うわ」
・・・姫様は、「来ないと“思う”」ではなく、“願う”とおっしゃった。
きっとそれが姫様の本音だからだろう。俺もそう願う。
もう暫くはこのまま姫様の護衛を・・護衛という形で良いから、姫様のお傍に俺をいさせてほしい・・・。
レティシアが、自分につい「本音」を吐露してくれたことが嬉しかったユーグは、心の中で密かにニンマリした。