シンシアリー
「ヘルメース。セイヴィアーは殺害されたばかりなのだぞ。それなのにおまえは、剣術、剣術と言って、己のことばかり考えているように見受けられる。少しは死者のことを偲ぶ気持ちを表しても良いのではないか?」
「何を言ってるんですか、父上は。剣の腕を磨くことこそが、ベイル騎士長官への弔いになるんです。よってこれが僕なりの“死者を偲ぶ気持ち”というやつですよ。あぁそうだ!だったら、ベイルさんの息子に頼んでくださいよ。息子は、国境警備隊所属の騎士と聞いたことがあるけど、すぐに止めさせてここに呼び寄せてください」
「な・・ヘルメースッ!」
「ユーグ・ベイルにはレティシアの護衛を任せた。よってユーグは、すでに警備隊から除隊しておる」
「え。姉、上の?」

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