シンシアリー
「今日は少し早いが雨が降りそうだ。レティシアを迎えに行ってくれないか」
「・・・たまには貴方様が行かれてみてはどうでしょう。レティシア様も喜ばれると思います」
「私はこれからヘルメースの所へ行かねばならん。3時から4時の間でないとヘルメースの機嫌が悪くなるからと、アレッシアが会わせてくれぬのだ」
「それはなんとも・・大変なことですな」
「息子に愛情を表現することは、いとも容易いことなのにな」

・・・先程私が申したことに「成程」と相槌を打たれたばかりなのに。
結局のところ、大公様は分かっておらん・・・。

言い訳がましくブツブツ呟きながら、喜々として息子・ヘルメースの部屋へ向かったゼノスの後姿に、セイヴィアーはため息をつくばかりであった。

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