シンシアリー
騎士は、貴族よりも下の階級である。しかもベイル家は、セイヴィアーの父が貧困から脱するための最後の手段として騎士になったという。元々何の階級も持っていなかった、いわば「成り上がり」なのだ。
しかし屈強な体つきをしていたセイヴィアーの父は、騎士になることでそれを活かした。
戦争もあったことで、その力は存分に発揮された。
セイヴィアーは父親から受け継いだ屈強な体に加えて、人を見る目が的確であった。
父親の時程激しい争い事は起こっていないものの、一般の騎士から優秀な騎士が集う国境警備隊に配属され、その後は騎士長官と、気がつけば、ここまでのし上がっていた。
しかし、セイヴィアーには「出世欲」というものが、ほとんどなかった。

< 23 / 365 >

この作品をシェア

pagetop