シンシアリー
「姫様。このことは大公様へご報告をされた方が・・」
「“首切り”のことだったら、まだ言えないわ。現時点ではヘルメースが犯人であるという私たちの推測があるだけで、確証がないから。もしかしたら私たちの思い違いで、犯人は別にいるかもしれないでしょう?・・・もしかしたら、だけど」
「それは分かってます。しかし先程の、公子が姫様に暴挙を振るった件は、大公様の御耳に入れておいた方がよろしいのでは?」
「・・今お父様は、公妃様とご一緒のはずだから、その・・今言いに行っても、恐らく“ヘルメースがふざけただけだろう”と言われて、あまり真剣に取り合ってくれないと思うの。特に公妃様がこのことを聞いたら、きっと私がヘルメースを怒らせるようなことを言ったに違いない、だから自業自得だと言われることは分かってるから」
「そんな・・・!姫様。貴女の首には公子の指痕がいまだに残っているんですよ。それに俺も公子が貴女の首を絞めるところを目撃した」

< 231 / 365 >

この作品をシェア

pagetop