シンシアリー
「そのために私が姫様の護衛を務めさせていただいている所存です。因みに、私は父程ヘルメース公子と交流がないので――昨晩あの場で初めて“ちゃんとした話”をしたくらいですから――私の主である姫様に、再び危害が加えられのを目撃したら・・・今度は父みたいに情をかける気など、全くありませんので」
「うむ・・。護衛騎士として実に立派な忠誠心だな」

半分皮肉を込めて、そしてもう半分は、レティシアのことを本気で護ってくれることに対する感謝の意を込めて、ゼノス大公はそう言った。
鋭いユーグには、ゼノスの言外の意までちゃんと伝わったが・・ここはバカになりきって、「ありがとうございます」と無難に答えておいた。

「主が傍にいる限り、ヘルメースはもう、レティシアに“危害を加える”ような事はせぬだろう」
「だと良いのですが」

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