シンシアリー
「・・・彼女は男の子を産むであろう。その名をイエスと名づけなさい。彼は、おのれの民をそのもろもろの罪から救う者となるからである・・・あ」
ポツポツとではあるが、雨が降り出した。
頭に雨粒が落ちてきたのを感じたレティシア姫は、慌てて聖書を閉じると、それを雨から護るように、ギュッと抱きしめた。
と、そこへセイヴィアーが到着した。
レティシア姫は、いつもここまで迎えに来てくれるセイヴィアーに「ベイルさん」と言って、軽く微笑みを浮かべた。
しかし、あどけない姫の顔に雨に混じって涙で濡れているのが、セイヴィアーにも分かる。
というのも、姫がここ、カサンドラ公妃の墓地に来ているときには、必ず泣いているからだ。
ポツポツとではあるが、雨が降り出した。
頭に雨粒が落ちてきたのを感じたレティシア姫は、慌てて聖書を閉じると、それを雨から護るように、ギュッと抱きしめた。
と、そこへセイヴィアーが到着した。
レティシア姫は、いつもここまで迎えに来てくれるセイヴィアーに「ベイルさん」と言って、軽く微笑みを浮かべた。
しかし、あどけない姫の顔に雨に混じって涙で濡れているのが、セイヴィアーにも分かる。
というのも、姫がここ、カサンドラ公妃の墓地に来ているときには、必ず泣いているからだ。