シンシアリー
レティシアは、優に190センチはある、長身でガタイが良く、黒くカールした髪を持ち、精悍な顔立ちをしているユーグを見上げながら、「今までどうもありがとう」と言った。
「あなたのおかげで・・あなたが傍にいてくれたおかげで、私はやっと自由になることができたわ。ユーグ。短い間だったけど、私の護衛をしてくださって、どうもありがとう。心から感謝をしています」
「何故、“短い間”なんですか」
「・・・え?だ、って。私はザッハルト家を出て外国へ嫁ぐのだから、もうあなたとは、ここで・・・」
「お別れだ、と」
その言葉と、ユーグの不穏な低音の響きに、レティシアは体をビクッとさせながら、ヘーゼル色の瞳にじわっと浮かんでしまった涙を見られないよう、すぐさま俯いた。
「あなたのおかげで・・あなたが傍にいてくれたおかげで、私はやっと自由になることができたわ。ユーグ。短い間だったけど、私の護衛をしてくださって、どうもありがとう。心から感謝をしています」
「何故、“短い間”なんですか」
「・・・え?だ、って。私はザッハルト家を出て外国へ嫁ぐのだから、もうあなたとは、ここで・・・」
「お別れだ、と」
その言葉と、ユーグの不穏な低音の響きに、レティシアは体をビクッとさせながら、ヘーゼル色の瞳にじわっと浮かんでしまった涙を見られないよう、すぐさま俯いた。