シンシアリー
「俺は、貴女について行きます」
「・・・ユーグ。あなたは、とても立派な騎士よ。そして私にはもう、専属の護衛は必要ありません。だから・・あなたも自由になって」
「ならば俺は絶対に、貴女について行きます。貴女について行くことが、俺にとっての“自由”なんです!」
「で、でも・・エイダさんと、離れ離れになってしまうのよ?エストゥーラは遠いし、そう簡単にここに帰っては来れないのよ。それに、あなたは騎士として優れた腕を持っているのだから、私について行くなんてもったいない事をしないで、国境警備隊に戻るなりして、アンドゥーラのためにその力を役立てなさい」
「俺は、貴女に忠誠を誓い、生涯を通してその身をお護りすると誓ったんだ。その決意は揺らぎません。貴女が行く所に、俺はどこまでもお供致します」
「ゆ、ユーグ・・・」
「母だって、俺の決意は理解しています。それに、公邸に勤める皆からも、“姫様をよろしく頼む”と託されているんです」
「・・・え?」
「だから召使の彼らは、貴女に同行しないことを、渋々了承したんですよ」
「あ・・・そぅ、だったの」

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