シンシアリー
「私・・やっぱり、心のどこかでは不安に想っているみたい。あの・・あなたにはもう話したかしら、国王様の事」
「・・・いいえ」
「だったら、国王様ご本人にお会いする前に、あなたには話しておいた方が良いと思うから話すわ」
本当は“恋敵”のことなど聞きたくないユーグだったが、どのみちエストゥーラの国王には会わなければならないのだし、何より自分の、レティシアに対する愛が報われる事はないとよく分かっている。
だから、どことなく不貞腐れた表情をしていたユーグは、渋々「分かりました」と言いながら、どうにか無表情を装って、やっとレティシアの方を見て、先を促すように「どうぞ」と言った。
―――実のところは、他にどう言ったら分からなかったから「どうぞ」と言っただけだったのだが。
逞しい外見と、優しい内面を持つユーグは、女性にとても人気があるモテ男だ。
そのことを知っているレティシアは、ユーグはさぞかし恋愛経験が豊富だろうと思っている。
だが本当は、一途にレティシアを想い続けている、それほど恋愛経験を積んではいない――しかしレティシアより積んでいる――、不器用な大男なのである。
「・・・いいえ」
「だったら、国王様ご本人にお会いする前に、あなたには話しておいた方が良いと思うから話すわ」
本当は“恋敵”のことなど聞きたくないユーグだったが、どのみちエストゥーラの国王には会わなければならないのだし、何より自分の、レティシアに対する愛が報われる事はないとよく分かっている。
だから、どことなく不貞腐れた表情をしていたユーグは、渋々「分かりました」と言いながら、どうにか無表情を装って、やっとレティシアの方を見て、先を促すように「どうぞ」と言った。
―――実のところは、他にどう言ったら分からなかったから「どうぞ」と言っただけだったのだが。
逞しい外見と、優しい内面を持つユーグは、女性にとても人気があるモテ男だ。
そのことを知っているレティシアは、ユーグはさぞかし恋愛経験が豊富だろうと思っている。
だが本当は、一途にレティシアを想い続けている、それほど恋愛経験を積んではいない――しかしレティシアより積んでいる――、不器用な大男なのである。