シンシアリー
「・・・それで姫様は少々・・不安になっていたんですね」
「ミカエルズ国王にはまだお会いしたことがないけれど、それほど不安には思っていないわ。それよりも、彼が国王に成り立てであること、そして年齢的なことから、彼一人で広大な国を取り仕切っているとは思えないの。恐らく、前国王が急死されて以来、エストゥーラ王国は非常に不安定な情勢だと、私は推測している」
「他国の姫君と結婚する――又は結婚させられる――のも、不安定な情勢を少しでも安定させるためであると?」
「多分ね。ただ、それでもミカエルズ国王が10歳であるという事実は変わらないけど」
「姫様・・・」
・・・このまま、俺と二人でどこかへ逃げましょう。俺たちのことを誰も知らない外国へ。
そして俺たちは、誰にも見咎められることなく密やかに、そして幸せに暮らすんだ。
俺は力仕事を何でもやる。姫様は、その賢い頭脳を活かして、何か・・何か・・・。
果てしなく広がっていく想像夢を、ユーグは意志の力で無理矢理断ち切った。
「ミカエルズ国王にはまだお会いしたことがないけれど、それほど不安には思っていないわ。それよりも、彼が国王に成り立てであること、そして年齢的なことから、彼一人で広大な国を取り仕切っているとは思えないの。恐らく、前国王が急死されて以来、エストゥーラ王国は非常に不安定な情勢だと、私は推測している」
「他国の姫君と結婚する――又は結婚させられる――のも、不安定な情勢を少しでも安定させるためであると?」
「多分ね。ただ、それでもミカエルズ国王が10歳であるという事実は変わらないけど」
「姫様・・・」
・・・このまま、俺と二人でどこかへ逃げましょう。俺たちのことを誰も知らない外国へ。
そして俺たちは、誰にも見咎められることなく密やかに、そして幸せに暮らすんだ。
俺は力仕事を何でもやる。姫様は、その賢い頭脳を活かして、何か・・何か・・・。
果てしなく広がっていく想像夢を、ユーグは意志の力で無理矢理断ち切った。